経営支援事例-島居マリン(尾道しまなみ商工会)
[将来のビジョンを明確にするため経営革新計画の作成に着手。計画を着実に実行し売上目標を3年で達成!]
瀬戸内海の沿岸に位置し、小型船舶の修理・販売を行っている「島居マリン」。迅速・丁寧な対応を心掛け、地域に密着したサービスを提供しています。平成28年に事業承継し、現在は2代目の島居賢二さんが事業を切り盛りしています。
事業を継承したばかりの島居さんの頭を悩ませていたのは、いつ故障するか分からない老朽化したクレーン車。約50年前のもので、新しいクレーン車を購入して事業規模を拡大するか、購入せずに事業を縮小するか、岐路に立たされていました。尾道しまなみ商工会に相談したところ、まずはビジョンを明確にするために経営革新計画の作成を勧められ、チャレンジしてみることに。支援を行った井上経営指導員は「業界のことを調べてみると、大きな設備投資をしても島居さんなら業務拡大が可能だと確信しました。覚悟のいる出費でしたが、島居さんの人柄と人間力もあり後押しすることができました」と話します。
経営革新計画の作成では、新しいクレーン車を購入することを想定し、売上目標などを綿密に設定。同時に固定資産税と借入金利の優遇措置を受けることができる経営力向上計画の作成にも取り組みました。二人三脚で取り組んだ経営革新計画は承認され、平成30年に25tのクレーン車を導入。安全に作業ができるようになっただけでなく、これまでより大きな船舶の修理も可能になり、作業時間も大幅に短縮できるようになりました。
また、クレーン車導入による業務拡大を見据え、小規模事業者持続化補助金を活用して応接室を完備した事務所を改装。受注も順調に伸び、売上は5年後の目標を前倒しして3年で達成することができました。令和5年で承認から5年が経ち、また新たに経営革新計画を作成して新規事業にも取り組んでいく予定です。
新事業では尾道沿岸部という最高のロケーションを活かした観光業への参入を予定しています。「観光地として人気の尾道ですが、アクティビティはまだまだ少ないように感じています。最高のフィールドで、ボートやフィッシングといったマリンレジャーを楽しんでほしい」と島居さん。
また、これまでマリンレジャーに興味がなかった新しい層にもファンを拡大するため、昨年から船釣りイベントも企画。この春実施されるイベントには、40人の定員に対して100名以上が応募し、追加の開催を予定しています。「イベント事業はすぐに売上が上がるものではありませんが、船や海に興味を持ってくれる人の絶対数を増やしたいと思っています。今はまだ、船に乗る人、船で遊びたい人、釣りをしたい人がどんどん減っている現状。こうしたイベントが新しいファン層の獲得に繋がれば嬉しいです」と島居さん。違った角度から見る瀬戸内海の魅力を伝える新しい取り組みにも注目です。
○島居マリン(しまずいマリン)
住所/尾道市向島町11953
TEL/0848-45-2218